
タイセイ飼料株式会社
営業係長 大井 渓介さん
帯広市出身。2018年入社。中学の頃から現在までバドミントンを続けている。現在は3人の子どもを育てる父親でもある。最近の楽しみは週末の温泉巡り。
次のフィールドへ。転職の先にある未来。
私たちの日々の食生活に欠かせない乳牛、肉牛。その牛たちが食べる飼料を販売しているタイセイ飼料で、大井渓介さんは肉牛チームの営業係長を務めている。
帯広工業高校を卒業したのち、地元の製造関連の会社へ就職。タイセイ飼料への転職のきっかけは、趣味のバドミントンサークルを通じてタイセイ飼料の社員に声をかけられたことだった。元々バドミントン仲間にタイセイ飼料の社員が数人おり、会社の雰囲気などは聞いていたという。向上心や活気があって、自身も成長できると感じ、転職を決意。入社後は約9ヵ月間工場勤務を経験し、その後、機転の利く性格や現場理解力を評価され、7年前に営業職へ配置転換された。営業職という未知の業種に、大きな不安と抵抗感があったものの、「誰でも最初は初心者だ」という社長の言葉に背中を押され、挑戦することとなる。もちろん最初は顧客との接し方がわからず苦労の連続だったが、顧客の要望に一つひとつ応えていく中で、「喜んでもらえること」が仕事のやりがいへと変わっていった。営業は単なる売り込みではなく、「課題解決を通じて信頼を積み重ねる仕事」だと捉えるようになり、仕事への意識が大きく変化したという。社内の仕事に対するモチベーションが高いことも、自身の意識を高く保ち続けることができる理由の一つだ。

飼料営業の最大の特徴として語られるのが、農家との圧倒的な距離の近さだ。1日に回る農家は10軒ほど。ちょっと牛の様子を見るだけのところから、じっくり話を聞くところなどさまざまだ。飼料費は農家の収入の約半分を占めるといわれ、経営の根幹に関わる存在となる。そのため寄せられる相談内容も餌に留まらず、人手不足や設備のこと、経営計画など本来の業務外にまで及ぶこともあり、経営パートナーとしても頼りにされることも少なくない。プライベートでも冠婚葬祭にも招かれるなど、他業種では考えられないほど密接な関係が築かれる。
飼料は牛の毎日の食事ゆえ健康状態に直結する。作り方一つで牛の乳量や乳質、肉質などに影響が出るため、タイセイ飼料では自社製品はもとより、農家の粗飼料分析も行い、牛たちに合った飼料設計と飼料給与診断を日常的に行っている。乳牛は日々の乳量や乳質で飼料の適合性がわかるが、肉牛の結果が出るのは一年半先の出荷時になる。大井さんの工場勤務時代の経験は、原料の配合順や混合状態が製品品質に与える影響を理解していた点で、牧場現場を見る際の大きな強みとなった。「提案した配合の飼料で、最良の結果が出た時が嬉しい」と話すように、その知見は顧客からの信頼獲得に直結しているのだ。

現在、係長として部下を2名持ち、顧客を若手に引き継ぎながら、育成とフォロー、新規開拓を並行して行っている大井さん。部下育成の難しさや、顧客満足度が数字に直結するプレッシャーを感じる場面も少なくはない。それでも、後輩が顧客に喜ばれる経験を積み、成長していくことこそが、今後の組織と自分自身に必要不可欠だと信じ前向きに取り組んでいる。
近年、道内の畜産農家の件数は減少の一途を辿るが、牛の頭数はほぼ横ばい。牧場の規模拡大に伴い、内包する課題も増えていく。家畜の生産性が上がり、畜産農家の経営が良くなることは結果として地域農業の持続性を高めることにつながる。「農家さん一軒一軒がしっかり利益を出せるように支えることが、最終的には自分たちの仕事にも返ってくる」。そう語る言葉には、目先の数字ではなく、長い時間軸で農業と向き合う姿勢が表れている。

会社データ
タイセイ飼料株式会社
音更町字下士幌北2線東29-5
0155-31-3731
1,000万円
150億円(24年3月期)
33名(うち正社員30名)