企業の育てる右腕人材「株式会社藤森商会」
十勝の企業が魅力的なのは、そこで働くメンバーが魅力的であるからにほかならない。社長の下で組織を支える「右腕人材」が経てきたキャリアと、その仕事についての特別対談。今回の対談は株式会社藤森商会。

株式会社藤森商会
代表取締役社長 藤森 康容さん
1989年帯広市生まれ。大学卒業後は大阪の食品会社に就職し、営業職として5年間勤務。その後、東京の和食店で修業し調理師免許を取得。2019年に藤森商会入社、2022年に5代目として代表取締役社長に就任。趣味は飲食店巡り。
株式会社藤森商会
総務部総務課長 佐藤 元基さん
帯広市出身。大学卒業後、東京の人材サービス関連のベンチャー企業に入社。その後も同業界で起業、転職を経験し、2023年に藤森商会に入社。社内の人事採用関連業務を担当している。趣味はキックボクシング。
食で地域を盛り上げ、飲食業として誇りを持てる職場を作りたい。
創業1899年(明治32年)、帯広駅の待合所として始まった小さな食堂は、120年以上にわたって地域に愛され、発展を続けてきた。十勝に暮らしている人なら誰もが知っているであろう、帯広駅前の食堂「ふじもり」と、十勝・釧路に13店舗を構えるカレーショップ「インデアン」。平日の昼間には地元民が、週末には観光客が列を成して詰めかけるその唯一無二の味は、もはや十勝の人のDNAに刻み込まれたソウルフードと言っても過言ではない。
家庭の味の次、「2番目においしい店」を目指してきた藤森商会の歩み。その現在地とこれからの展望について、2022年に代表取締役社長に就任した藤森康容さんと、その右腕として人事採用関係の構造改革に尽力してきた幹部社員、佐藤元基さんに話を聞いた

代表を継いでからの取り組みについて教えてください。
藤森 元々先代の頃から、働き方改革を推進する流れはありました。その上で、社員の待遇改善と採用強化には積極的に取り組んできましたね。たとえば働く時間の短縮や繁忙期の後のまとまった休業など。飲食業界が「3K(きつい・汚い・危険)職場」とも言われ、そこに対して強烈に違和感を持っていましたから。
佐藤 私は2023年入社で、採用関係を担当してきました。当時はまず求人票の情報を見直したり、採用サイトを整備したりと、会社に興味を持ってもらえるような仕組みを整えました。そうしたら、地元の方から数多く応募いただけるようになりましたね。
藤森 「良い人であれば上限は設けずに採用する」と決めて、50名ほどだった正社員が3年経った今、倍の100名を超えました。流石に今はもう「上限なし」とは言えないんですが…。佐藤さんが前職の経験を活かして採用の型を作ってくれたことは、大きかったですね。
採用に力を入れたのは、どういった考えからだったんでしょう?
藤森 代表を継ぐと決まったときに、やはり一緒に働く人材が一番大事だと思ったんです。人手不足が深刻化する中で大手飲食店は機械化に舵を切っています。でもやっぱり私は昔ながらの食卓、人の手で作る店が好きで。だから「ここで働きたい」と思ってもらえる勤務環境づくりと、採用活動に力を入れるというのは自然な流れでした。佐藤さんは高校の同期で、東京で人材紹介の仕事をしていたことも良く知っていたので、私から声をかけました。
佐藤 僕が長男ということもあって、ちょうど30代を迎えて地元に帰ることを考え始めていた時期だったんです。前職の経験を活かせることはもちろんですが、インデアンカレーは子どもの頃から食べていたし、会社としても可能性が感じられて面白そうだと思った。それで思い切って入社を決めたんです。


コロナ禍や原材料費の高騰など、飲食業界には逆風が強い時勢かと思いますが、いかがですか?
藤森 まさにそのとおりで、社員の待遇改善についてもコロナ禍でやり切れていない部分があったんです。特に気になっていたのが給与水準。調理師学校で学んでいたとき「飲食業界は修業があって給与が低い、でも業界の特徴だから仕方ない」というようなことが教科書に書いてあって。驚いたし、すごく腹が立ちました。私はこの業界を愛しているので、誇りをもって働ける場を作らなければと思っています。もちろんそのためにはお客様に繰り返し足を運んでいただける店にしていくことがまず必要で。魅力的な店を作って売り上げを上げることで地域への貢献度も上がり、その対価として働き手の給与水準も上がる。そうやって良い循環を回していければ、良い会社になっていくだろう、ということで目下取り組んでいるところですね。


経営理念にも、社員の成長と豊かな未来のため…という文言がありますね。社員へ理念共有の場はあるのでしょうか?
藤森 一応伝えてはいるのですが、まだまだ足りない。なので、次の期の始まりには全店を休業して社員に集まってもらって、事業発展計画発表会というのを予定しています。ホテルの会場を借りて、ドレスコードは「スーツ」にして。いつもより真面目にしっかりと、これからの藤森商会について考える場にします。
佐藤 ちょうど昨日、その研修で社長と一緒に東京に行っていて、夜中まで会社の未来について話し合っていました。
藤森 今このタイミングがすごく重要な時期。今いる社員のうち半数がこの数年のうちに入社してきたということになりますから。きっと最初の1、2年は期待感も大きいだろうし、現場の仕事を覚えるのは大変ですが、できることが増えて楽しいはず。そこで、年数が経ってマンネリ化してしまう前に、ちょっと一段目線を上げて、会社の未来についてみんなで希望を持って考えられたら…と思っているんですよ。飲食店は、営業するのが目的じゃない。みんなで良い会社にしていくこと、社員が豊かになっていくことを目的にしないといけないから。
具体的な方向性として考えていることはありますか?
藤森 社員の皆さんの活躍の場を作り続けていきたいと思っています。元々「拡大ありき」という考え方はしていないのですが、成長した人材が活躍できる場として、結果として着実に店舗が増えていくというのが望ましいですね。それから、最近では物販部門が大変好評をいただいています。大きな可能性を感じているので、事業領域を飲食一本から、メーカーとしての要素も広げていきながら、食に関わる総合的な仕事ができる会社に成長していけたらと思っています。


大きな変革の途中にある藤森商会。社内の雰囲気はどんな感じですか?
佐藤 実際に社員やパート・アルバイトさんが仕事をしているのは店舗ごとなので、それぞれの店舗ごとの雰囲気があるようです。いつも直接話を聞けるわけではないですが、店長を通じて聞く限り、各店舗風通しが良さそう、というのは感じますね。
藤森 現場の声を直接拾う機会はもっと増やしていきたいですよね。
佐藤 昔から、店舗それぞれに育まれてきた風土みたいなものもありますもんね。全店舗統一の接客ルールブックで研修もしているんですが、たとえば店長がカレーをすくうときに皿をクルッと回すパフォーマンスみたいなものは、店舗で生まれた独自の文化。カツを切るのが早過ぎる人がSNSで話題になりましたが、「そんなに早くなくていいじゃない」と思うけど、でも、面白いですよね(笑)。
藤森 そういうところがオープンキッチンの醍醐味なんですよね。調理風景もお客さんに楽しんでもらおう、文化としてそうあるべきだと、多分共通認識としてみんなが引き継いでくれているんでしょうね。そこはうちの会社の強みですね。
藤森商会で働きたい人、飲食業界に興味がある人へのメッセージをいただけますか?
佐藤 応募動機に、地域を盛り上げたい、自分が関わって帯広を盛り上げたいという思いを持って来てくれる人が多いです。 地域貢献は藤森商会の使命でもあるので、そこに共感してくれているのはうれしいことです。地域に住んでいる皆さんの活力になりたいという気持ちがある方は、うちの仕事がすごく向いてると思うので、ぜひそういう方にお越しいただきたいなと思っています。
藤森 私たちが掲げている「地域で2番目においしい店」というコンセプト。それを実現するには、ふじもりもインデアンも、女性一人でも、家族連れでも、仕事中の人でも入りやすい店にしなければならない。それがうちの接客だと思っています。 だから、そこに共感してもらえる人と一緒に仕事をしたいですね。「うまいものを出していればそれでいい」というような考えではなく、 ポジティブに良い店を作っていこうと思ってくれる人。 それから、成長意欲のある人も大歓迎です。飲食店の中でも突出した存在になって、業界全体を底上げしていくために。成長意欲にあふれて、周囲に楽しい時間と仕事を提供することに楽しみを感じられる人が集まってくれたら、そんなにうれしいことはないですね。


会社データ
株式会社藤森商会
帯広市西7条南9丁目70
0155-65-4884
2,000万円
19億6,000万円(25年2月期)
340名(うち正社員100名)