0から1を育てる、起業スタートアップ支援スペース「LAND」

とかちのやりたい実現カフェ LAND

起業・独立のはじめの一歩を支える場所

館内のスペースや設備は無料(来館時に要名簿記載)で利用できる。Wi-Fiや電源、キッチンや給湯室も使用OK。

「十勝で何か事業を始めてみたい」、「独立したいが、何から始めたらいいかわからない」。帯広・十勝での起業・独立を考えていたり、ヒントを探している人に紹介したいのが、帯広駅前にあるLANDだ。

運営は公益財団法人とかち財団。とかち財団では食品加工や技術開発を通じてものづくり支援を行っているほか、2019年から起業・創業や事業創発の支援を行うLANDを開設した。これまでの利用者は通算2万人以上、相談者も2千件以上、うち70件以上が起業。今や金融機関と同様に、十勝で起業する際やビジネスの困りごとの相談機関の一つとなっている。現在4名のスタッフがコーディネーターとして事業相談を受けたり、イベントやセミナーの開催を通じて起業のサポートを実施。十勝でビジネスに携わっている人であれば、一度はLANDを訪れたことがあるのではないか。カフェやリビングのような居心地の良い空間で、日々豊かな発想が生まれている。

LANDにはさまざまな境遇の人が相談にやって来る。「夫の転勤で帯広に来たが、ちょっとした副業を始めてみたい」、「今は会社員として働いているけれど、いつか起業したい」というライトなものから、「事業は固まりつつあるが、収支計画に不安がある」といった具体的なものまで。起業志願者にとってはありがたいことに相談料は無料。多い日はコーディネーター1人あたり3件以上のアポイントが入る日もあるとか。相談を受ける植田康裕さん、山口壮太さんが大切にしているのは、「簡単には否定せず、どうすれば実現できるかを⼀緒に考える」こと。相談者の心に灯った小さな火を、大きく育てて起業につなげるためだ。モチベートしながら、事業に関連する人や企業を紹介するなどしてきた。

実際に相談から起業につながった例を紹介しよう。帯広出身で2020年にUターンした北川さんは、UIJターンに特化した求人メディア「TCRU」を立ち上げ、法人化を果たしている。放課後デイサービス「こりすのおうち」を開業した大山さんは、2つ目の店舗を出すなど順調だ。元公務員で「十勝平野蒸留所」を設立し、クラフトジンの製造を始めた宮澤さんも注目を集めている。

取材に訪れた日も相談が行われており、対応するコーディネーターの姿からは「背中を押したい、何とかしてあげたい」という気持ちが伝わってくる。無闇に後押しするわけではなく、収支計画や事業計画の裏づけまで含めて現実的なアドバイスを行う。金融機関よりも少しラフに、最初の一歩を踏み出すための伴走をしている印象だ。

学生の起業支援にも力を入れてきた。十勝管内の大学・専門学校の学生から、ユニークなアイデアが形になり始めている。十勝の農業技術を活用し、ガーナの貧困問題解決をビジネスとして持続可能な形で取り組もうとする学生、エゾシカが駆除された後、有効に使われることを目指し、解体所を作りたいという学生など…。十勝の資源を活かした学生ならではの豊かな発想は、柔軟で光るものを感じる。山口さんは「社会人は日々の生活や、養う家族がいる場合、失敗が許されないことがある。それに比べると学生時代はゴールデンタイム。失敗しても学生に戻る選択肢があるから、挑戦しやすい」と話す。

学生・社会人関係なく気軽に相談できる分、本当に起業できるかは、本人の行動力次第。植田さんによると「⼗勝は基幹産業の農業に加えて、新たに宇宙産業が⽣まれつつある。それらの分野に関心があるなら、十勝でスタートするのがおすすめ」とのこと。十勝にはまだ存在していないサービスや、活用されていない資源が多い。十勝で見つけたチャンスを形にしたくなったときは、ぜひLANDに一歩踏み入れてみてほしい。

企業・独立をサポートする補助金・奨学金

とかちビジネスチャレンジ補助金

設立5年以内の事業者には最大300万円(10/10)を補助。新規事業や新製品、新技術、新サービスなどの新たな取り組みが対象。毎年3~4月に募集している。

LAND奨学金

十勝で起業を目指す学生をサポートする奨学金事業。夏から秋にかけて計20万円を給付する。十勝在住者でなくとも、十勝の地域資源や特性を活かしていれば対象となる。返済不要。

LAND
電話番号 0155-67-7895
住所 帯広市西2条南11丁目12-1 天光堂ビル1F
営業時間 10:00~20:00 ※土曜は17時まで
定休日 日曜、祝日、年末年始