のびのび子育てと自分らしい起業、チャレンジすればどちらも叶う

「地域おこし協力隊」とは、都市部の人々に移住してもらい、地域活性化を目的とした制度です。
培ったスキルや経験を活かし、地域に新しい風を吹き込みます。今回は現役の地域おこし協力隊である髙橋強さんにお話を伺いました。

髙橋強さん。2023年4月、兵庫県明石市から豊頃町に一家で移住。妻の真里奈さんと一緒に地域おこし協力隊として活躍中。

コロナ禍で働き方を見つめ直し、地域協力隊の道へ。

兵庫県出身で帯広畜産大学を卒業した強さんは、広告会社や阪急百貨店で約11年間、イベントの企画運営に携わってきた。しかし2020年、新型コロナウイルスによってイベントが激減。仕事の大半が中止や延期となり、強さんは次第に、「これからの人生」について深く考えるようになったという。

その過程で辿り着いたのは、前職でもひと際情熱を注いできた“カレー”をテーマにした、町おこしや地域活性化のアイデア。それらを実現できる方法を模索する中で、豊頃町でフリーミッション型の地域おこし協力隊の募集を発見したそう。すぐさま応募し、2023年3月、強さんは妻の真里奈さん、そして子どもたち3人と共に一家での北海道移住を果たした。

現在、髙橋さん夫妻が取り組んでいる活動は、SNSなどを利用した町の魅力発信とカレーによる地域おこし。着任当初の目標だったカレー店も移動店舗「カレー喫茶マリリン」として昨年に開業し、現在は町内で月に1回程度開店している。オープン以来町内での反響は大きく、町民たちはイベントでその存在を知り、少しずつその名前が浸透してきている。また、SNSを活用した情報発信も功を奏し、町外からの関心も集まるように。カレー店を目当てに訪れる人も増えてきたそうだ。

豊頃町への移住で実現した、家族と笑い合える幸せ。

「町のみんなが顔見知り。安全性も高く安心して子育てができますし、子どもを通じてママ友やご近所の方との交流も広がっています」と話すのは、同じく協力隊として活動している妻の真里奈さん。

移住前は臨床検査技師としてフルタイムで勤務していたが、強さんの帰宅が遅かったこともあり、子育て・家事・仕事と多忙を極めていたという。今は夫婦ともに働く時間を調整できるため、家族全員で食卓を囲み、平日の夜に家族でプールやスケートに行くなど、団らんの時間が格段に増えたと喜びを見せる。

また、豊頃町の子育て支援が充実していることも、移住を後押しする大きなきっかけだったそう。「18歳までの医療費無償や保育所の通所支援金など、金銭的支援が手厚いのが助かります。町全体で育てていく文化があるのもうれしいですね」。

髙橋さん夫妻は、大人たちが働く姿を直接見る経験が子どもたちの財産になると考え、イベントの企画運営やトラブルの対処、反省会まで、意識して子どもたちに見せているそう。親が地域や社会とどのように関わっているかを知ることで、自然と社会性や責任感が育まれると感じている。地域おこし協力隊として働くことは、家族全員にとってもかけがえのない経験となっているようだ。

保育園のお迎えの帰りに少し寄り道。毎日、豊頃町のシンボルである「ハルニレの木」を見ながら通勤しています。自然豊かな環境で理想の子育てを叶えました。

協力隊として叶えたいこれからのこと。

北海道での生活にも慣れ始め、髙橋さんの活動はさらなる広がりを見せている。たとえば昨年3月には、前職のつながりを活かして、阪神百貨店で豊頃町の特産品を紹介するイベントを開催。管外・道外へのPR活動も積極的に行っている。

ほかにも昨年秋、強さんは町内に学習塾「タカワシ」を新たに開設した。町には学習塾が無く、町外へ通おうにも農業従事者が多く繁忙期の送迎が難しいとの声を聞き、「大学時代の家庭教師の経験が活かせたら」と開設を決めたという。このように地域のニーズに合わせて、自分のスキルで貢献できるのも、地域おこし協力隊のやりがいの一つだ。

現在、髙橋さん夫妻が活躍している豊頃町だが、それまでは協力隊の前例はほぼなかったそう。手探りな部分は多いが、その分自由度が高く、型にはまらないチャレンジ精神旺盛な方にぴったりな環境だと強さんは話す。「今後は、豊頃町の観光資源や地元産品のブランド化にも力を入れていきたいと考えています。特に町外や道外に向けたPR活動を強化し、地域の魅力を広く発信していくことで、町全体の活性化につなげていきたいです。町内に志を同じくする仲間もできたので、今後どのように活動していくか楽しみですね」と笑顔を見せる。髙橋さん夫妻の挑戦は、まだまだ始まったばかりだ。

髙橋さんの豊頃町暮らし

北海道を飛び出して町の魅力をPR

阪神梅田本店食祭テラスで行われた移住トークショーの様子。強さんはスーパープレゼンターとして登場。

町の食材を活かしたカレーを開発

豊頃中の中学生とカレーを開発した「豊頃最強カレー」。町内産の和牛と小豆を使用している。秋のイベントで500食を提供し、完売に。

イベント出店も積極的に挑戦

「カレー喫茶マリリン」は現在月に一度、豊頃町内の公共施設やイベントを中心に出店している。出店場所や日時はInstagramをチェック。

喫茶マリリン
住所 店舗開店までイベント出店がメインのため公式Instagram確認